グラニュラーベイナイト

 

グラニュラーベイナイトと言う用語は、しばしば、連続冷却過程において発生するベイナイトを示すのに用いられる。通常、非恒温熱処理を行う業界では、広くこの用語が用いられている。典型的な例として、発電設備に用いられる鋼がある。この鋼は、大量のCrMoを含み、オーステナイト領域から自然冷却され、ベイナイト組織が形成される。

 

グラニュラーベイナイトは、透過電子顕微鏡を用いて調べると通常のベイナイトとすぐには見分けが付かない。というのも、その生成メカニズムは同じだからだ。しかし、冷却中に組織が粒上に形成されるので、ベイナイトシーフはかなり粗くなりがちである。そして、光学顕微鏡での観察では、ベイナイトとオーステナイトの塊が見えるので、「グラニュラー(粒状の)」という形容詞を使うのが適当なのだ。

 

グラニュラーベイナイトの特徴(ただし、独特の特徴ではない)は、組織中に炭化物がないということだ。代わりに、ベイニティックフェライトから吐き出された炭素が残留オーステナイトを安定化し、最終的にベイニティックフェライトに加えて、残留オーステナイトと高炭素マルテンサイトが組織中に残る。